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おれたちは客室へ通された。
夏場だけど客室は風通しがよくて涼しい風が入ってきていた――…
だから結構…快適な空間だった。
「涼しぃ~…」
「あっ…! 見て! 滝だよ♪」
幸人くんが指差した先には確かに滝があった離れ屋敷の背後…
そこに広がる竹林の先に見える。
「…なるほど…滝から来る涼しい風が部屋を横切って行くのか…
どーりで…涼しい訳だなぁ~…」
伊能先生は床に寝て…
一番リラックスしていたようだ。
「床も畳で…涼しいなぁ…」
「……オヤジ臭いですね」
伊能先生と同じく 床に寝ている長谷川さんに誠也くんは言った。
長谷川さんは かなりショックを受けたようで部屋の隅に行った。
部屋の隅で泣いていたけど――…
それを無視して 誠也くんは幸人くんの所に歩み寄って行った。
放置された長谷川さんはグレた。
「幸人くん…一緒に探検しよう」
「――探検?! いいよ♪」
幸人くんは年相応の子供らしく…満面の笑顔で外に出て行った。
誠也くんと手を握りあって――…
「ぼくも行くーっ!」
悠哉くんも走って行った。何だかスゴく不安に思うメンバーだな💧
おれも着いて行った方がいいか…
おれも敏樹を連れて外に出た。
幸人くんたちの後を追って竹林に入ると涼しい風が駆け抜けた。
その涼しさを…おれは体で感じていたいと思っていたけど――…
ゆっくりしていたら 幸人くんや誠也くんと はぐれてしまう!
だから早足で歩いて行った…――
「わぁ~…綺麗…」
幸人くんは乙女オーラをだしつつ荘厳な滝を下から眺めていた。
その目はキラキラと輝いていて…
とても可愛らしい…というか…
何て言えばいいのか分からない。
「ん…? 何だろ?」
「どうした?」
敏樹が何かに気付いて…
滝の上を指差したけど…
そこには何も…誰もいなかった。
「誰か滝の上に いたような気がしたんだけど…気のせいかな?
見間違いなら…いいんだけど…」
おれは滝の上を見た。けど…
やっぱり そこには誰もいない。
「そろそろ…戻ろうか…」
「何だか寒くなってきたかも…」
小さな体を震わせて 寒がる幸人くんに誠也くんは上着をかけた。
そして 離れ屋敷へ戻って来た。
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