葛西家 ①

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おれたちは客室へ通された。 夏場だけど客室は風通しがよくて涼しい風が入ってきていた――… だから結構…快適な空間だった。 「涼しぃ~…」 「あっ…! 見て! 滝だよ♪」 幸人くんが指差した先には確かに滝があった離れ屋敷の背後… そこに広がる竹林の先に見える。 「…なるほど…滝から来る涼しい風が部屋を横切って行くのか… どーりで…涼しい訳だなぁ~…」 伊能先生は床に寝て… 一番リラックスしていたようだ。 「床も畳で…涼しいなぁ…」 「……オヤジ臭いですね」 伊能先生と同じく 床に寝ている長谷川さんに誠也くんは言った。 長谷川さんは かなりショックを受けたようで部屋の隅に行った。 部屋の隅で泣いていたけど――… それを無視して 誠也くんは幸人くんの所に歩み寄って行った。 放置された長谷川さんはグレた。 「幸人くん…一緒に探検しよう」 「――探検?! いいよ♪」 幸人くんは年相応の子供らしく…満面の笑顔で外に出て行った。 誠也くんと手を握りあって――… 「ぼくも行くーっ!」 悠哉くんも走って行った。何だかスゴく不安に思うメンバーだな💧 おれも着いて行った方がいいか… おれも敏樹を連れて外に出た。 幸人くんたちの後を追って竹林に入ると涼しい風が駆け抜けた。 その涼しさを…おれは体で感じていたいと思っていたけど――… ゆっくりしていたら 幸人くんや誠也くんと はぐれてしまう! だから早足で歩いて行った…―― 「わぁ~…綺麗…」 幸人くんは乙女オーラをだしつつ荘厳な滝を下から眺めていた。 その目はキラキラと輝いていて… とても可愛らしい…というか… 何て言えばいいのか分からない。 「ん…? 何だろ?」 「どうした?」 敏樹が何かに気付いて… 滝の上を指差したけど… そこには何も…誰もいなかった。 「誰か滝の上に いたような気がしたんだけど…気のせいかな? 見間違いなら…いいんだけど…」 おれは滝の上を見た。けど… やっぱり そこには誰もいない。 「そろそろ…戻ろうか…」 「何だか寒くなってきたかも…」 小さな体を震わせて 寒がる幸人くんに誠也くんは上着をかけた。 そして 離れ屋敷へ戻って来た。 .
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