葛西家 ④

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葛西家 ④

―17:36 葛西家本屋敷 雅臣さんと一時 別れて…おれは渡り廊下を歩いていた。すると… 大広間を通りかかり…誰もいない様子だったから中に入った。 そして例の家宝…『鴉丸』がある事を確認して周囲を見渡した。 誰もいないと分かると『鴉丸』に近付き それをマジマジと見た。 葛西家に伝わる家宝『鴉丸』か。 「その刀は大勢の人々の血と肉を吸ってきた妖刀です…あまり… 近付かない方がよろしいかと…」 「――と、藤吉さん?!💦」 いつの間にか 背後に藤吉さんがいて…おれは正直 驚いた。 ここに来てから10年くらい寿命が縮まっているような気がする…💧 それくらい心臓に悪い事だった。 「現在…我々が佳樹さまの葬儀の準備を致しておりますので… 離れにいらっしゃって下さい…」 大広間の先にある仏間を見た。 大広間と仏間は繋がっていて… さらに その隣は…樹一郎さんの自室があり大広間か仏間… そのどちらかからしか入れない。 樹一郎さんの自室が部屋と部屋に挟まれた所にある理由は――… かつての当主が敵の襲撃に備えて別の場所に当主の部屋を造り… そこに…影武者を配置して自分は安全な この部屋に隠れていた。 その時の名残が残っているとか… たった今…使用人である藤吉さんから その話を聞かされた。 そんな世間話をしていると――… 「藤吉さん…! 三家の方々が…いらっしゃいましたので… 今から…迎えに行って参ります」 英作さんは慌ただしく本屋敷から出て行き門の方へ走って行った。 その様子に おれは首を傾げた。 「三家って何ですか…?」 「三家と言うのは…古くから葛西家と縁のある家系でして… 直接的な血縁関係はありませんが一応…葛西家一族になります。 敏樹様が話された…抜け忍として処刑された為に減りましたが… 三家だけは 今でも変わらず一族として葛西家に尽しています。 絶対的な…主従関係によって…」 藤吉さんは冷たい眼差しで例の刀『鴉丸』を見つめ溜め息を吐き… おれの視線に気が付いて笑んだ。 「その三家って…」 「三家を率いる長が村雨家… その補佐は碓氷家と瀧家です。 三家とも室町時代より長く貴族の家系で…葛西家に取り入り… 安全な地位を確立した様です…」 葛西家は情報を管理していた。 貴族の情報も握っていた訳か…
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