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晩餐
―18:00 本屋敷大広間
夕方6時になり大広間に集められ葬儀の前に食事が始まった。
長い机を囲み食事を取っていた。
「お腹すいたぁ~…」
少し…3分程遅れて来た敏樹は…おれの隣に黙って正座で座った。
そして黙々と食事を取っていた。
「悠哉!ピーマン食べなさい!」
「苦いからヤだ!」
「子供か…」
「いや…💧子供だから…💦
悠哉くん…ボクが食べようか?」
なんて平和な会話なんだ。
こっちは あまり食が進まない。
「ありがと♪」
悠哉くんは幸人くんに抱きついて甘えてた。それを睨む誠也くん…
2人の間で戸惑う幸人くんが…
やっぱり可愛いと思ってしまう。
「そう言えば…藤吉さん!
お爺様の姿が見えませんけど…」
敏樹は辺りを見渡した。
確かに樹一郎さんがいなかった。
いや…樹一郎さんだけじゃない。
三家の人たちもいなかった――…
「では…失礼しました」
そう思ったら…樹一郎さんの部屋から三家の人たちが出て来た。
それから…3人は食卓を囲んだ。
「あの話…
何とかメドが立ちましたね…」
「これで三家は安泰ですなぁ…」
何の話しだ…?
「食事の席だぞ…
そのような話は控えるべきだ。
まったく…常識が無くて困る。
葛西家の一族ならば…
その辺りの事を理解しておけ…
これだから半端者は嫌なのだ…」
村雨さんに酒を注ぐ瀧さんの手が僅かに震えたのを見ていると…
そんな おれを敏樹は見ていた。
「……あの三家の人たちってさ…お互い友好そうに見えるけど…
実は…お互いに牽制しあっていて互いが互いを憎んでるって…
お爺様が言っていたんだ…――」
「敏樹…」
敏樹は おれを見て微笑んだ。
「ゴメン…取り乱したりして…」
敏樹は何だか恥ずかしそうに顔を赤らめて おれを見つめていた。
そんな敏樹の手を握った。
もちろん…周りに見えないようにこっそりと敏樹の手を握った。
上から包み込むように…そっと…
「…真悟…」
「おれ…敏樹を信じてるから…」
敏樹の肌から このあたたかさ…ぬくもりを奪ってはいけない…
この笑顔を絶やしてはいけない。
この時おれは…そう思っていた。
周りは探偵部メンバーがいる。
だけど みんな食事に夢中で…
おれの行為には気付いていない。
藤吉さんや英作さんや菊絵さんは大広間から出たり入ったり…
慌ただしく動き回っていた…――
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