暗躍するモノ

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おれは『TIVE』へ急いでいた。 しかし…背後から誰かが おれの後をつけてくるのが分かった。 それが誰かは分からないけど… 知り合いでない事は確実な事だ。 …このまま行くと…途中で何かを仕掛けてくるかも知れないけど… おれを待ってくれている人たちがいるから先を急がないとな――… ここで相手を撒いてみようか… 「――今だ…っ!」 おれは走り出し路地裏へ入った。 ここを通った方が早く着けし… おれを尾行している奴を撒ける。 「ここを抜ければ――…ッ!?」 銃声は聴こえなかった。 だけど…確実に肩を撃たれた。 「――だけど…っ!」 撃たれたのが左肩でよかった。 元々…おれは右利きだから左肩を負傷しても大して気にはしない。 このまま走り続ければ行ける―― 「――がぁ…ッ!?」 右肩も撃たれ犯人に背中を押され壁に押し付けられてしまった。 両肩を撃たれて腕が上がらない…犯人は強い力で背中を押さえる… おれは身動きが取れなくなった。 「くっ…そ…」 呼吸をするのも辛い…苦しい… 「――あと…少しなのに…ッ!」 『TIVE』は…もう目と鼻の先だ。 「…こんな…ところで――…」 もう…おれは諦めかけていた。 苦しくて意識が薄れていき… 立っているのが やっとだった。 このままじゃ…犯人に殺される。 「おれは…おれは…――」 頭の中に今までの記憶が蘇る… これが走馬灯という物だろうか。 この半年…色んな人との出会いや別れを繰り返して おれは… 成長する事が出来たのかな――… 犯人が…こめかみに拳銃を強めに押し付けてきたのが分かった。 銃の冷たい感触が伝わってくる。 ―…オレハ モウ シヌンダ…― おれは自分の生を諦めた――… 『――諦めんな!』 「伊能…先生…?」 頭の中に今は亡き伊能先生の声が聴こえてきて…おれは殴られた。 まるで脳が揺らされたような… そんな衝撃が体内を駆け廻った。 『オレの分まで生きんだろ! だったら…死ぬまで生きろよ!』 「せんせぃ…ッ!」 おれは犯人に回し蹴りをしたけど右腕で防御されてしまった――… しかし犯人は慌てて走り去った。 「た…助かったのか…おれ…」 おれは壁に背中をつき その場にへたり込んでしまったが進んだ。 何とか…みんなと合流する為に… .
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