モラトリアム

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モラトリアム

―14:26 喫茶店『TIVE』 とりあえず痛み止めを飲んだから少しはマシになったけど…痛い。 犯人は おれを本気で殺そうと…おれを尾行してから襲ってきた。 犯人からしてみれば探偵は邪魔な存在…消したい存在だったんだ。 おれが その標的にされた――… 「あとで病院に行かなきゃ…💦」 「真悟…大丈夫…?💦」 敏樹も彩乃も心配しているから…おれは笑顔で心配に応えたけど… 正直…あまり痛みが静まらない。 「――…みんな…聞いてくれ…」 ちゃんと言わなきゃ…ダメだ。 今…言わないと後悔してしまう… 「みんなに言っておきたい…」 おれは…みんなを失いたくない。 「犯人は おれを狙ってきた… だけど…次は みんなが狙われるかもしれない…だからさ――… ちゃんと…考えて欲しいんだ…」 みんな…大切な仲間だから…―― 「これから…どうしたいか… …もしかしたら…犯人に狙われるかもしれない…傷つけられて… 殺される可能性だってあるから…よく…考えてくれないかな…? これ以上…誰も傷つけたくない」 みんなを巻き込みたくないんだ。 「こんな事…おれが言うべきじゃない事はよく分かってるけど… …死にたくない人は…由美さんに退部届を出して帰って欲しい。 もう…嫌なんだ…目の前で誰かが死ぬのは…もう嫌なんだよ…っ! だから…もう…これ以上は――」 「真悟…だ…大丈夫だって! オレたちが力を合わせれば――」 「――ちゃんと考えろよッ!!」 敏樹はビクッとして反応した。 「……ちゃんと考えて欲しいって言っただろ…お願いだからさ… ちゃんと考えて決めてくれ… 探偵部を辞めても仲間だから…」 「…しんご…」 「ならば猶予期間を設けよう…」 山崎警視は腕時計と店にある古い柱時計を交互に見て針を示した。 現在は…午前11時半ちょうどだ。 「現在は…午前11時半だから… …30分後…午後12時が期限だな」 「それまでに答えが出せないなら探偵部を辞めて帰って欲しい。 …みんな…自分で考えてくれ…」 「今から 店を閉めて貸し切りにするから…ゆっくり考えてよ。 たった30分しかないけど…大事な時間だし…貴重な時間だから… この30分をムダにしない様にね」 マスターは全員に優しく笑った。
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