モラトリアム

4/4
482人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
探偵部…10人の決意は固まった。 残りは真悟と敏樹と彩乃だけ… …しかし…真悟の決意は固まっているから…あとは敏樹と彩乃だ。 2人は真悟の幼馴染みとして… 一番 近くにいたから…悩んだ。 「真悟ってば…ホント…お人好しなんだから…敏樹はどーする? まさか…探偵部やめちゃうの?」 「辞めるワケ…ないだろ… 真悟には…借りがあるんだ。 返しても返しきれないくらい…」 「そうね…アンタってば…いつも真悟に迷惑かけていたもんね。 いつもバカやって…真悟にツッコまれてさ…楽しんじゃってさ… スッゴく…楽しかったね――…」 彩乃の瞳から涙が机に落ちる。 そのうち…いくつかの涙の雫は…コーヒーに落ちて波紋を作った。 彩乃はカップを机に置いた――… 「…おかしいよ…なんで…なんで真悟は…あんなに頑張れるの! …だって…私や敏樹や…みんなの面倒を見ながら…推理してさ… 被害者や遺族の人を思いやって…犯人に対しても優しく接して… …なんで…あんなに人の為に…」 「――…それが…真悟だから…」 敏樹は少し照れ臭そうに言った。 「きっと…真悟にとって…犯人は悪人じゃなくてヒトなんだよ。 あくまでも一人の人間だから何かしら過ちや間違いは犯すけど… それは…必ずしも悪じゃない。 被害者には殺される理由があって…加害者には殺す動機がある。 だから 真悟は頑張れるんだよ」 「そうかもしれないわね…――」 彩乃は時計に目をやった。 すると…あと5分で時間になる。 「そろそろ時間ね…」 「ハラ…くくったよ」 彩乃と敏樹の気持ちは1つ――… ――――――――――――――― あと…5分で約束の時間になる。 みんなの決意は固まったかな…? 「もう30分か…早いね」 マスターはコップを拭いていた。 「真悟くんは どーするの?」 「訊くだけヤボだよ…ね?」 マスターは よく分かっている。 「やっぱり…残るよね~」 見た感じ…梨花さんは何とか立ち直ってくれたように見えるけど… …きっと…ツラい筈なんだよな。 「もちろん…残りますよ…――」 おれはコーヒーの薫りをかいだ。 「いいコーヒーですね…」 「本場のコーヒー豆だからね~」 そう言うとマスターは左手を棚の上に伸ばしコップを戻していた。 梨花さんも…隣で手伝っている。 .
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!