敏樹の実家

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敏樹の実家

―8月3日(金) ―12:30 列車 おれたちは 敏樹の実家へ向かう為に列車を乗り継いでいた。 真田さんの事務所を出てから… ずっと敏樹に元気がなかった。 詳細は不明だが…敏樹の兄さんが不慮の事故で亡くなったらしい。 おれも少しだけ会った事がある。 人当たりはよかったが…何か嫌な雰囲気を感じていた記憶がある。 その葛西佳樹さんが亡くなった。 佳樹さんの葬式を行う為に敏樹は実家へ帰省するらしいけど――… 敏樹はずっと沈んだままだった。 「敏樹…元気ないね…」 「確か…敏樹が施設に預けられた理由は ご両親が亡くなって… 実家で育てる事が出来ないから…施設に預けて育ててもらった。 おれは…そう聞いていたけど…」 敏樹は独りで窓際に座り溜め息を吐いて外の景色を眺めていた。 まるで 魂の抜け殻だった…―― 「なんか…調子 狂うなぁ…💧」 「ホントね…」 伊能先生は悠哉くんと騒いでるし女子チームも話しをしている。 幸人くんと誠也くん……主に誠也くんは長谷川さんを無視した。 長谷川さんは独りで座席にいる。 真田さんと冴美さんも… 2人で何かを話している様子だ。 おれは…彩乃と一緒にいる。 何故かって?敏樹を見張る為だ。 今の敏樹は何をするか分からないから…おれは見張っているんだ。 彩乃が付き合う必要はないけど… 物好きなようで付き合っている。 「お前も 話しに加わってくれば良かったのに…なんでまた… おれなんかと一緒にいるんだ?」 「い、いいでしょ別に…💦」 少し慌てた彩乃に おれは…首を傾げてコーヒーを一口 飲んだ。 そして 周りの景色を見た――… 「本当に田舎だな…」 矢のように流れていく景色を見て呟くと彩乃が おれを見ていた。 それに気付いて彩乃を見ると… 彩乃は おれから目を反らした。 「……なんだよ?💧」 「いや…なんかさ… こんなの久しぶりだなぁって…」 彩乃はバツが悪そうに言った。 「最近いろいろあって… 真悟と ちゃんと話してなかったから…なんか照れちゃって… 私らしくないから言わないっ!」 彩乃はガラにもなく照れていた。 こんな女の子らしい一面があった事に少しだけ驚いたけど――… いつの間にか… 敏樹が いなくなっていた…―― 「――敏樹?!💦」 「探さなきゃ…!💦」 おれたちは敏樹を探しに行った。
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