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葛西家 ①
―15:42 飛騨高山山道
長い坂道が終わり目の前に見えてきたのは何だか古い吊橋だった。
その吊橋の傍らには男性がいた。
男性は おれたちに気が付いて…
軽く一礼して近付いて来た――…
「皆様…遠い所お疲れ様です…」
そこにいたのは若い男性だった。
「あなたは…?」
「葛西家使用人の竹芝です。
敏樹様…お元気そうで何より…」
「英作さんってば…💦
そんな改まっちゃって…
藤吉さんや菊絵さんは家に…?」
敏樹の問いに英作さんは頷いた。
「…現在…ご葬儀の準備と皆様を迎える準備をしております。
では参りましょうか…
あの吊橋を渡ってお屋敷まで…」
英作さんが 指差した先には古い吊橋…風に吹かれて揺れていた。
横には…深い谷が広がっていた。
「落ちたらアウト…だな💧」
この崖から落ちたら…まず助からないと思っていいだろうな――…
みんな足が前に進まない様子だ。
「一昨日の大雨で橋が落ちまして昨日の昼間に修復しました。
雨には弱いようですが…
人には耐えられると思いますよ」
英作さんは吊橋まで歩き渡るのを促した…すると敏樹は歩いた。
それに続き真田さんや公文さん…長谷川さんもビビりながら歩き…
おれたちを先に行かせ伊能先生は最後尾から歩いて来ていた。
これだけの人間が乗っても吊橋は僅かに揺れるだけ…人が乗って…
逆に重くなり風に揺られない。
それにより安定しているようだ。
「この吊橋は重さに関しては丈夫なのですが…衝撃には弱くて…
吊橋を支えている縄はナイフでも切断する事が可能ですから…
そこが 難点なんですよね~…」
そんな軽く言われても…
やけに下がスースーすると思って下を見ると そこには深い谷――
ヤバいくらいに立ちくらみした。
「たたたたた高ぇぇぇ!!💦
おい!お前ら…落ち着けよ…
クールダウン…落ち着くんだ…
たはーっ!💦やっぱり高ぇ!💦」
伊能先生が独りで騒いでいた。
なんてテンションが高いんだ…💧
「さて…吊橋の右手に見えますはロープウェイで ございます。
あのロープウェイは時間制で…」
「――おぃぃぃ!!
ロープウェイあんのかよっ!
だったら先に言ってくれよ~…」
吊橋を抜けて向かって右手には…確かに ロープウェイがあった。
それは橋の向こうに通じていた。
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