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しかし、何だか衣服に違和感を感じる。
何となく衣服が窮屈に感じるが、下の袴のような着衣は、腰の辺りが緩い感じだ。
ふと胸に手を当てると、有り得ない二つの膨らみが…。
「!?」
下に手をやると、なくてはならない物がなかった…!
「………私は女になってしまったのか?これでは、神子の助けにならないではないか…!」
神子を守るべき八葉が、守られるべき女になってしまうとは、どういう事か。
泰明は動きにくい衣服を、無理なく動けるように整え、墨染の中を、舞い散る桜の花びらと共に歩き出す。
眠る前にほどいていた髪が風に乱され、何度も掻き上げ、また視界を遮る。
こんな時、長い髪が本当に嫌になる。
天真や詩紋やイノリくらい短ければ、このような煩わしさもないのだろう。
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