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「煉骨の兄貴が言った通り、雨になったな」
「警報が出る程にな」
テラスに面した窓辺に睡骨と煉骨は佇んでいた。
大量の洗濯物を脇に抱えて。
「仕方ない、睡骨ハンガーラック広げてくれ」
2人は居間にハンガーラックを2台広げ、干し始めた。
だが、何しろ男7人所帯の量である。
「ったくキリがねぇな…ん?」
睡骨が愚痴を零しかけて、何かに気付いた。
「兄貴、蛇骨のは出てねぇのか」
「そんな訳…」
煉骨は答えながら、もしやと、蛇骨の部屋に向かった。
「おい、蛇骨!」
蛇骨はベッドの上で蛮骨と談笑していた。
部屋のコーナーに突っ張り棒が渡してあり、洗濯物が掛かっている。
「なに?煉骨の兄貴」
「どうかしたのかよ、煉骨?」
煉骨は蛇骨に詰め寄った。
「てめぇ、洗濯機使ったな?」
「それがなに?」
「なに?じゃねぇ!!一日に洗濯機回すのは3回と決めているだろう!!」
煉骨の剣幕に首を竦めていた蛇骨だったが、
「みんなと一緒に洗うの、もぅ嫌なんだもん」
ぷぅっと膨れた。
「な…何だと?」
思わぬ答えに煉骨はおろか、付いて来た睡骨、更には蛮骨まで困惑する。
そんな3人を尻目に蛇骨は言い放った。
「だって霧骨とか凶骨の下着ってなんか染み付いてるし~睡骨の服なんか背中んとこ独特の匂いするんだぜ~煉骨の兄貴みてぇに体臭薄いんならともかく、あいつらのと洗っておれの大事な服に匂い付くのもぅ嫌なのっ」
3人は唖然とした。
しかし、それは一瞬のことで。
「我が儘言ってんじゃねぇ!!この馬鹿野郎が!!」
煉骨の凄まじい雷が落ちた。
睡骨は衝撃の言葉に青ざめている。
「光熱費がどれだけ大変だと思ってんだ!!」
「だって…」
「まぁ待ちな」
蛮骨が穏やかに割って入った。
「そんなに蛇骨が嫌ならいいじゃねぇか」
「大兄貴!!そんな甘やかして」
「わ~ぃ蛮骨の兄貴すっき~😃💕」
「これから蛇骨が洗濯係すりゃいいだろ、なぁ蛇骨。文句ねぇよな」
有無言わせない大兄貴の一声だった。
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