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朝起きて、顔を洗って、歯を磨いてた時、鏡の中の俺に話しかけられた。
「よう、俺。今日1日だけ俺と入れ替わらないか?そっちの世界に興味があるんだ。」
俺は、すぐに了承した。俺も、鏡の中の世界に興味がある。
鏡をくぐり抜けた先は、左右が逆の俺の家だった。
早速居間に行って、いつもの朝の様に新聞を広げた。何が書いてあるかさっぱり分からなかった。
家を出るとき、鍵を閉めようとしたがなかなか閉まらなかった。いつも開ける方向に回したら閉まった。
車に乗ったらまるで外車のようだった。アクセルとブレーキも逆なので、危うく事故を起こすところだった。
会社で、用を足そうと思ったら危うく女子トイレに入るところだった。
帰り道、夜空を見上げると左半分の三日月が光っていた。めまいを覚えた。
鏡の中の世界は、ろくなものじゃなかった。こりごりして洗面台の前に立つと、疲れた顔の俺が映った。
鏡の中の俺は言う。
「こっちの世界は、ろくなものじゃないな。もうこりごりだよ。」
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