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なんだろ。
大兄貴の様子がこの頃変なんだ。
変っつうか、なんか妙に穏やかっつうか。
いつもはびりびりするみてぇな空気が周りにあって、あれが、ああ大兄貴だなぁって感じるのに。
ほんとちょっと前からびりびりが少し治まってる感じなんだよな。
別にそれが不満とかそんなんじゃねぇんだけど、そういうのあんま無かったからさぁ、気になりかけたらどんどん気になってきたんだよ。
なんでか知らねぇ?
「…知る訳ねぇだろ、おれが。あぁもぅ、カウンターにぽろぽろ零すなよ💧」
飛天は蛇骨の食べ零しを拭き取った。
えへ😃悪ぃ、と悪びれた風もなく、蛇骨はカウンターに凭れてエクレアを食べている。
「これ、一口サイズなのがいいね💕おれ、オレンジのドライフルーツ詰まったの好き😃」
喜んで平らげる蛇骨に、飛天は幾分、気を良くする。
「心あたりなら他の同居人達に訊いてみりゃいいじゃねぇか」
「そりゃそうだけどよ…」
指に付いたチョコをちゅ、と舐めたまま言いよどむ。
「だけど?」
「なんか近すぎてっつうか…飛天だって満天がはっきり分かんねぇけどいつもと違う時、満天に訊くかよ?」
飛天は何言ってんだ、とばかりひょいと肩をすくめる。
「おれがあいつのこと分からねぇ訳ねぇだろ。…なんだよ?」
指を舐めくわえたまま、蛇骨がじぃ~っと見つめていた。
飛天にそれを問われるも、ううん、と首を振る。
(飛天てそういうとこもちょっと似てんだ…なんかびっくりした)
蛮骨の兄貴も何故かおれのことなんでも分かってる風なんだ。
時々外れてるけど。
「なぁ蛇骨、」
「飛天は大兄貴のこと分かんねぇの?」
「はあ?」
飛天は面食らった。
「この前、大兄貴が飛天のこと『ダチ』だって。それって飛天と大兄貴が通じてるってことだろ?飛天は大兄貴のこと分かんねぇけどダチなのかよ? わっ何すんだよ~!!💦」
飛天は笑って蛇骨の頭をくっしゃくしゃに撫でた。
これ以上蛇骨回路に入り込まないように。
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