10.「じゃこ回路」

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  なんだろ。 大兄貴の様子がこの頃変なんだ。 変っつうか、なんか妙に穏やかっつうか。 いつもはびりびりするみてぇな空気が周りにあって、あれが、ああ大兄貴だなぁって感じるのに。 ほんとちょっと前からびりびりが少し治まってる感じなんだよな。 別にそれが不満とかそんなんじゃねぇんだけど、そういうのあんま無かったからさぁ、気になりかけたらどんどん気になってきたんだよ。 なんでか知らねぇ?   「…知る訳ねぇだろ、おれが。あぁもぅ、カウンターにぽろぽろ零すなよ💧」 飛天は蛇骨の食べ零しを拭き取った。 えへ😃悪ぃ、と悪びれた風もなく、蛇骨はカウンターに凭れてエクレアを食べている。 「これ、一口サイズなのがいいね💕おれ、オレンジのドライフルーツ詰まったの好き😃」 喜んで平らげる蛇骨に、飛天は幾分、気を良くする。 「心あたりなら他の同居人達に訊いてみりゃいいじゃねぇか」 「そりゃそうだけどよ…」 指に付いたチョコをちゅ、と舐めたまま言いよどむ。 「だけど?」 「なんか近すぎてっつうか…飛天だって満天がはっきり分かんねぇけどいつもと違う時、満天に訊くかよ?」 飛天は何言ってんだ、とばかりひょいと肩をすくめる。 「おれがあいつのこと分からねぇ訳ねぇだろ。…なんだよ?」 指を舐めくわえたまま、蛇骨がじぃ~っと見つめていた。 飛天にそれを問われるも、ううん、と首を振る。   (飛天てそういうとこもちょっと似てんだ…なんかびっくりした)   蛮骨の兄貴も何故かおれのことなんでも分かってる風なんだ。 時々外れてるけど。   「なぁ蛇骨、」 「飛天は大兄貴のこと分かんねぇの?」 「はあ?」 飛天は面食らった。 「この前、大兄貴が飛天のこと『ダチ』だって。それって飛天と大兄貴が通じてるってことだろ?飛天は大兄貴のこと分かんねぇけどダチなのかよ? わっ何すんだよ~!!💦」   飛天は笑って蛇骨の頭をくっしゃくしゃに撫でた。 これ以上蛇骨回路に入り込まないように。
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