11.「召し上がれ💕」

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  確かに奴の作るケーキは美味い。 特に焙じ茶プリンはいい。 この前食べた黒胡麻のムースも良かった。 おれは割と和スイーツが好きなのかもしれない。 テレビのスイーツ特集を見ながら、ぼんやり思った。   「どれも美味そうだな~」 隣で寝そべりながら蛇骨がうっとりしている。 口元の緩みようときたら、今にも涎が落ちてきそうだ。 蛇骨を魅了している画面のケーキは、フルーツをふんだんに使い、瑞々しさと濡れた光沢がちょっとやらしく見えるくらいだった。 つまり、端的に言うとエロい感じ。 かぶりつきたい衝動を引き起こすような。   とすると、飛天の奴が作るのはちょっと上品なのかもしれない。 どっちかっつうと、しみじみゆっくり味わうものが多い。(と思う。おれがそうだから) 一口めは捕らえて逃がさねぇ強い印象があるけど。   蛇骨が不意に、おれの胡座に頭を乗せてきた。 何か含むような笑みを浮かべている。 なんだよ、とおれが頬を撫で上げながら訊くと、あのさ、とくすくす笑いながら言う。   「あのパティシェさ、大切な人に召し上がってもらうような気持ち込めて作るとか言っちゃってエロくねぇ?きっと色々想像しながら作ってんだぜ~」 「おめぇなぁ…」 「でさでさ、ケーキにそれ表れてんだ😁 さっきのフルーツのはぐわって来る感じ😃」 「馬鹿言ってんじゃねぇよ」 全く。 おれもちょっと思ったけど。 この行儀の悪い口を黙らせてやろうと頭を抱き込んでやった。 少し驚いたか、一瞬身をよじらせたものの、すぐに体を預けてきた。 胸元でくぐもった声が響いた。   「さっきのフルーツのがぐわって感じなら、飛天のはぐわってきて、じっくり頂いちゃう感じなのかなぁ」   「蛇骨」 「なに?な…兄貴どうしたんだよ、何か怒ってんの?」 「いや、別に。おめぇ朝まで寝られねぇだけだから」
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