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「あっおかえり💕蛮骨の兄貴」
「おぅ、ただいま」
学校から帰宅して、蛮骨は何となく違和感を感じた。
一体何がいつもと違うってんだ?
着替えて、居間に戻ると蛇骨が膨大な量の洗濯ものを畳んでいる。
特に普段と変わることのない光景だ。
蛇骨の隣に座り、畳むのを手伝う。
これだって特段のことでもない。
ちらっと蛇骨を見ると、機嫌良さそうに鼻歌を歌いながら手を動かしている。
「なに?」
「?」
「なんでそんな見てんの?」
「いや…おめぇこそ随分機嫌良いじゃねぇか」
蛮骨が問い返すと、蛇骨はぱあぁっと頬をほてらせ、満面に笑みを浮かべた。
まるで、そこら中に花を撒き散らすような、輝く笑顔。
(ほんっとヤバいよな~こいつのこういう顔)
蛮骨は思わず見惚れた。
蛇骨が花を振り撒き、嬉しくてしょうがないと体を揺らして答えた。
「あのね、今日苺凄く美味かったからさ、飛天に苺のケーキ作ってってねだってみたんだよ」
蛮骨は呆然と固まった。
蛇骨のピンクの唇が動くのを見つめながら。
「でも今日突然言っても無理って、そんでも苺のスムージー作ってくれたんだよ。その代わり明日中に考えて明後日には食わしてくれるって!!もう~~おれ明後日待ち遠しい~~!!😆💕💕」
ごちん。
「いってえぇー!!😭💦なんで殴んだよ~~!!😭💦💦」
「うるせえっ馬鹿っ面して笑ってっからだ!!💢」
蛮骨の怒声に蛇骨はさらに涙を浮かべて、
「なにそれ!!笑ってなに悪いんだよっ大兄貴の横暴!!大兄貴なんか苺くれなかったくせに!!そんな訳分かんねぇ大兄貴なんかだっきらい!!」
蛮骨の脳天に稲妻が落ちたような衝撃が走った。
瞬間、何がいつもと違ったのか悟った。
自分が帰宅したのに蛇骨は飛びついて来なかったのだ。
その夜、二人は一言も口も聞かず、それぞれのベッドで夜を明かしたのだった。
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