15.「迷い森」

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  どこに行ったんだ。   蛇骨が帰らないが、と煉骨から聞いて、蛮骨は近所を見て回った。 バイト先もあたってみたが、定時で上がっている。 だったらもぅ3時間も経っている…。   (何やってんだ、あいつは)   あたるべき所はまだある。 蛮骨は渋々、携帯を取り出した。   『6時には帰ったぜ』 飛天は怪訝そうに返してきた。 『まだ着いてねぇのか』 「ああ…」 苦々しく答えると、飛天の揶揄するような声がした。 『ケーキ持ってっから、そう遠くには行ってねぇと思うけどな。どーもおめぇには蛇骨は手に余るみてえだなぁ』 「ぬかせ」 電話を切り、ばくん!と携帯を閉じた。   ちくしょう、あんの野郎。   電話向こうで飛天が笑っているような気がして、それにムカッ腹立ててる自分も腹立たしくてならない。   全くあいつは一体どこ行ったんだ。   小さな神社の森が見えてきた。 蛮骨は来た道をそのまま引き返してきたことに気付き、舌打ちした。   このまま家に帰れねぇだろうがよ。   ともかくもぅ一度駅周辺を見回って来ようと、身を翻した。   (ん?)   何か声らしきものを耳にした気がした。 辺りに注意を払っていると、どうやら森の方から聞こえてくるようだ。 そっと小さな鳥居から入って行く。 やがて、囁くような言葉が届いた。   「なぁ、なんで食わねぇの??美味ぇんだよ?ほらっほらっ」   蛮骨は夜目を凝らした。 前方にうずくまる黒っぽい姿。 それは、ケーキのかけらを手に、猫に話しかけている蛇骨だった。
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