5人が本棚に入れています
本棚に追加
「へー君が俺を呼んでる子?」
兄貴は白いスーツに茶髪といういかにもホストらしい風貌て店から出てきた。
「あ、あの……お弁当を流星さんに…。」
深織ちゃんは恐る恐るお弁当を前に出すと兄貴に押し付け数歩あとずさりした。
「俺、こんながきんちょにまで人気なんだ……」
「さすがっすよ流さん!!」
下っ端達が持て囃す。
やめてくれ、兄貴は調子に乗ると危ないんだから…
「あ、あの…!わたし流星さんの弟さんの、ありすさんの使いの者なんですが……」
深織ちゃんは溜めていた思いを吐き出すように呟いた。
深織ちゃん、お疲れ様です。
「もしかしてアイツの彼女…?!」
「へ?あ、えと………」
深織ちゃんはまた数歩後退りをする。
「自慢してたんだ、超可愛い彼女がいるんだって…」
わー!それを言うなぁっ!!!
「本当だ…よく見るとすげえ別嬪さんじゃねえか。」
兄貴はいつものペースで深織ちゃんに近づき彼女の顎に手を添え、くいっとあげて顔を近づける。
「しかも年下かよ……やるじゃん、ありすも。」
「あ、あの……」
深織ちゃんもびっくりしたらしい。
顔が真っ赤だった。
「ふーん。気に入ったよ、君。また遊びにおいで?」
深織ちゃんに背を向けると兄貴は手を振りながら颯爽と帰っていった。
一人道に残された深織ちゃんは我に帰るとまた足早に、俺の弟、颯斗の元に向かった。
「俺、人が持ってるものって欲しくなっちゃうんだよね……。」
窓からそんな深織ちゃんを見ていた兄貴はそう、呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!