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黒い猫の物語
深夜、城塞都市ドンドルマの近隣の草原。
そこに一人の少女が佇んでいた。
その格好は、極めて自然でありながらも、極めて不自然であった。
小柄な体躯に、闇に溶け込む漆黒の軽装鎧。両手には血が滴る二振りの剣。揺れる尻尾と、二つの猫の耳を模した装飾。
傍らに倒れているのは、“空の王者”ことリオレウスだ。もはや息は無い。
暗闇に光る金色の瞳が、辺りを一瞥する。
何も無い。赤い飛竜の死体意外は、何も。
双剣を振り、血を落とす。
そして少女は、既に息の無いそれに対して呟いた。
「……私に、触れないで」
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