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だが、それもまぁ、今日おばあちゃんの家に行って、続きを聞けばわかることだ。
俺は立ち上がり、ドレスに付いた埃を払って、リュックを背負った。この服装に慣れかけている自分にちょっと不安を抱きつつも、おばあちゃんの方へと足を進める。
道中は対した障害もなく、軽快に進むことが出来た。
空は蒼々と澄み渡り、太陽が照ってはいるが、そんなに暑くはなく、時折吹く風が俺の頬撫でてくれるので、寧ろ涼しい。
やがて大きな森が見えてきた。草原の端の方にぽつんとあるそれは外界から取り残されたように、草原の薄緑と対称的な深い緑を表している。
その森の入口から少し離れた、丘の上におばあちゃんの住む小屋はある。
俺は一気に丘の方へ駆け抜け、坂を上っていった。
肩で呼吸しながら、おばあちゃんの家の前に着いた。おばあちゃんの家は丸太で建てられた小さな小屋で、俺が住んでいる町の家とは少し違う。
俺はノックも無しに家の中へと入った。俺とおばあちゃんの関係だからいいのだ。
外からは小さい小屋に見えるが中は結構広い。棚やら釜戸やら色々あって、食材さえあればたいていのことが出来そうな小屋だ。
「おばあちゃん、今週分の食材持って来たよ」
と言って、部屋を見渡すがそこには誰もいない。ただ木で作られたテーブルを挟んだ向こうに少し掛け布団が膨らんだベットがあった。
寝ているのかな?
俺は近づき、
「おばあちゃん、寝てるの? 食材持ってきたよ」
「うん、ちょっと疲れてね。横になってるの」
とベットから声がした。
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