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ーーーー午後の昼下がりーーーー
「はぁ‥‥‥‥羽月さん、私は‥‥‥」
そう言って川の側の土手に腰を下ろし溜め息をついた時
「こんにちは お姉さんっ♪」
と可愛いらしい声が聞こえてきて
「はっはははっはいぃ!!」
彼女は叫びにも似た声を上げながら、びっくりして顔をあげた。
「お姉さんっどうしたの?浮かない顔してたね」
そう言って、その子は苓羅を気遣った。
「いえっ大丈夫ですよ」
と言い無理に笑って見せた彼女だったが。
「むぅぅ‥‥作り笑いしてるぅ!もっと自然に笑ってよっ♪あっ忘れてたけどっ僕神崎 璃紅」
神崎 璃紅
ーカンザキ リクー18歳
元気で活発な女の子だが実は、この子にも大きな深い溝がある
親の跡継ぎ争いの中
女の子が産まれた事から
彼女は辛い人生を歩む事になってしまった
そんな悲しい子供である。璃紅その名前は勝手に自分がつけた偽物の名前。
「よろしくねっ♪」
そう言って その子は
彼女の横に歩み寄ってから腰を下ろして
「僕リクっ♪実はこんな名前で髪も短いけど 女の子♪よく間違えられるんだけど女の子だからね」
ニカッと笑った その子は続けて彼女にこう言い
「貴方の名前はなぁに?」
クリクリした大きな黒い瞳とまぁるい顔が苓羅の顔を覗き込むようにして見つめている
「私は穂波 苓羅って言うのっ」
ニコッと笑って その子に自分の名前を言えば
「苓羅ちゃんかぁ 素敵な名前♪えへへ♪」
と彼女に人なつっこい顔を向けて だがしばらくすれば暗い顔をしながらこう切り出した
「僕は‥‥‥本当は‥
産まれてきちゃいけなかった子供だった」
璃紅は、そう言って涙を堪えて
その言葉を一生懸命言って 手で顔を覆うと
「こうするとね まだ僕はお母さんのお腹の中にいる感覚になれるんだ。
まだこの世に産まれていない 望まれて産まれてこようとする幸せな赤ちゃんになれるような、そんな気がする、そう思えて‥‥僕は産まれちゃっ」
「リクちゃんッ‥‥‥!!
そんな事ないよっお母さん達はそんな;」
璃紅は静かに首を横に振り こう言った。
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