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漢文の朗読に、教室の中がさっきよりも静かになる。
恢達の方はといえば、二人で一つの教科書を読んでるもんだから、あ、あん、あんなに、くく、く、くっついてぇっ!!
歯軋りをしそうなほど力を込めてしまっていたからか、握り潰していた私の教科書がミチミチと変なふうに教室に響いた。
「じぁ、次のところを……夜諭間、読んでみろ」
「え、俺ですか?」
先生の朗読が終わっての名指しに、私は思わずガッツポーズ。
いい仕事してるじゃない、先生っ!
頼りなさげに席を立つ恢を見て、あの妖さんから離れる恢を見て、私はなんでか優越感的なモノを得てしまっていた。
妖さんは恢に何かを言ってるみたいだけど、今はもうどうでもいい。
だって恢は国語の中でも特に漢文が苦手なんだからね、存分に苦しむといいわっ!
「――――――です。……座っても、いいですか?」
「おお、よく出来たな。お前とは思えない出来のよさだったぞ」
「先生、それ誉めてないからっ」
恢のツッコミにクラスが波立った。
その中で唯一笑っていないのは、私だけ。
……え、嘘、なんで恢が古典の漢文をあんなにスラスラと言えんのよっ?!
おかしい、なんで??
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