双つの華

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 小さな体躯にショートの金髪、実年齢よりも下に見える可愛い小顔の少女。  ただし、普通の人間ではない。  鬼と人間の混血で、しかも鬼の特色を色濃く受け継いだ電撃女だ。  その証拠と言う訳でもないが、現に鳴の頭からは二つの小さな捻れ角が生えている。  雷はもちろんのこと、炎も少しは扱えるとのことで、多分この学校でガチにやりあえる奴なんてほとんどいないほどに強い。  なにせ鬼と言えばかの有名な『全戦争』で主力の一つに数えられた種族なのだ、勝てるとしたら滅茶苦茶限られてくる。  手加減したと言ってもそんな奴に電撃を撃ち込まれて生きている俺はやっぱりすげんじゃね?  そして、そこで笑ったのがいけなかった。 「うぶふぁっ!!」  スカートの中身が見えそうなほどのハイキックをこめかみに喰らって、俺の体は驚くほど軽くなる。  誰からのハイキックかなんて、考えるまでもなく、そしてそんな暇なんて神様が与えてくれるかどうか迷っていたであろう間に俺の頭は後ろの壁に吸い込まれた。 「私の電撃喰らって何笑ってんのよこの変態! シネっ!!」  誰の制止もなく、またその小鬼からの電撃を受けたことは、言うまでもない。
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