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『ッ…そんな覚悟なんてするな!馬鹿杉!!』
『それは、手前ェが嫌いな矛盾じゃねぇか。』
夕日で表情が
見えないことが
不安でたまらねえ。
『嫌なんだ。』
やつが顔を上げる。
『お前が消えてしまうのが。他の奴に斬られてしまうのが。』
それは心地よい狂喜。
自嘲にもにたやつの
笑みはおれそうで。
『俺はきえねぇ。新撰組…手前ぇらなんかに斬られてたまるかよ』
酒が喉をとおる
笑えない
抱き寄せられない
愛していると
伝えられない
『馬鹿はむかつく』
やつは呟いた。
諦めにもにたそんな、
笑み。
『馬鹿で結構だ。俺ァ、何度でも手前ぇに会いにくるぜ』
こんな時代だから。
手前と会えたのも
奇跡なんだよ。
終わりがくるまで
俺ァ、きっと
『でも…まあ、馬鹿は嫌いじゃない』
素直じゃねえ手前に
また、花をやる。
『だから手前ぇはSなんだ。人を焦らして楽しいか。あァ?』
一輪の花を髪にさす。
『きれぇだ。』
真っ黒な髪に赤い椿が映えて。
『なっ…!!』
『手前ぇは俺のもんだ。俺も手前ぇのもんだ。』
『私は馬鹿なんていらないっ!』
『素直になんな?』
酒を片手に笑ってやると
奴からはなれる。
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