夢うつつ-高杉ver.-

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頭を垂れるソイツを 抱き寄せることも せず、酒を煽ることしか できない。 触れてしまえば壊れそうで。 現実なのに、 どこか夢うつつな この時間は心地よくて。 また、馬鹿を演じるしかない。 『馬鹿野郎…!』 小さな俺の敵は。 好いた女。 敵を好いてしまった俺は ただの道化。 『…仕方ねぇだろ』 であっちまったんだ もう、なかったことには できやしねぇだろ。 小さな肩が 微かに震えている。 『おまえが!もう少しっ…自粛すれば、いいんだろ?!』 俺の記憶じゃあ、コイツは感情的になることは 滅多にねぇ。 …俺以外には。 理由はどうであれ、 特別扱いはうれしいもので。 だが。 俺は俺で。 めのまえの 一本の道しか 見れねぇから。 『俺は俺の思うようにやる。』 この時代に生まれちまったから。 野望をもっちまったから。 『だから……刹那にいきるのか…?!』 顔をあげたやつの目は 赤かった。 『………っ』
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