夢うつつ-高杉ver.-

3/6
前へ
/70ページ
次へ
いてぇ。 見たくねぇ 苦しい。 会う度に強くなる。 触れる勇気もねぇくせに 会いたがるから。 『私は都合のいい…切り捨てたいときに切り捨てられるお前の駒なのか?』 ほどいた腕がまた、 襟をとらえる。 細い腕が震えて。 『ふざけんじゃねぇぞ』 こちらとて、 一度もお前を 駒なんざ思ったことはねぇよ。 お前が女の身でありながら新撰組に席をおく理由も、俺が会いにくる度苦しんでいることも、全部… 知ってるつもりだ。 『私は新撰組であることに誇りをもってる。…貴様を斬る覚悟もとうの昔につけた』 一言一言漏らすごとに 語調は強くなる。 好いた女を 苦しめているってことは 分かってんだ。 『死ぬ覚悟はできてる』 それでも… それでも。 お前との時間は 失いたくないんだよ。 .
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加