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「さて、チュールが来るのを待つよ」
そう言って、ロキはその場に座り込んだ。
すると、ロキの声にお座りをしてジッとしていたフェンリルが怪訝そうな顔をする。
『父さん、オレ帰っていい?あの人嫌いなんだけど…………』
口をごねらせながらの言葉を聞くと、ロキは納得したような顔をする。
「あぁ、そうだね。お疲れ帰ってい……「うわあ、フェンリル君だぁーーーー」
ロキより数トーン高い声が聞こえ、何かがフェンリルに飛び付く。
「あーー……フカフカ、幸せ…………」
それは背中に等身大の大剣を背負い、腰に幾つもの幾つもの首輪が繋げられてぶら下げている金髪の少女がいた。
フェンリルはこれでもかというくらいイヤな顔している。
「あ、あの人がチュールさん?」
「うん、軍神チュール。ああ見えても戦神ヘズ、破壊神トールに並んで凄まじい戦闘力を持っているよ。因みに極度の犬好き」
二人はフェンリルの背中に寝転がって悦に入っているチュールを眺めている。
それに気付いたチュールは上体起こして、そちらに視線をやる。
「やあ、チュール。話はヘムから聞いてるね?」
「うん、聞いてるよロキ君。この子達の力を借りたいんでしょ」
そう言って、チュールは腰に下げている首輪の束の一つを手に取る。
それを見た、ロキは頷く。
「あっ、それと初めましてね。今回の魂さん」
不意にチュールがこちらを向き、言った。
一瞬、魂とは誰の事かと思ったが少年は自分の事と悟るとペコリと頭を下げた。
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