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「まず、キミが死んだということはわかるよね」
ロキの問いに少年は頷く。
それを見て、ロキはホッとする。
死を理解出来ずに錯乱されては面倒だからだろう。
「ボクはその死んだ人の魂を天上界アスガルドへと連れて行くのが仕事なんだけど、今のままじゃ連れて行くことが出来ないんだ」
「なんで?」
ロキの説明を聞くと、再び少年は疑問を持ち問い掛ける。
すると、ロキはパチンと指を鳴らす。
同時にロキの目の前に伝票用紙のような紙と万年筆が現れる。
「ロキ君の七つ道具[死者証明書]!!……って言って全員持ってるんだけどね」
そう言って、伝票用紙のような紙を少年に見せる。
そこには、名前記入欄と死因の記入欄があった。
「これを両方書けてキミは始めて天上界アスガルドへ行く権利を得るの」
ここで、少年はようやくロキの一番厄介なタイプと言う言葉の意味がわかった。
死と同時に記憶を失った自分はこの紙を書く事が出来ない。
つまり、アスガルドへと連れて行けないと言う事だ。
「じゃあ、僕はどうすれば…………っ!!」
不意に漆黒の世界が振動する。
少年は困惑して、ロキは頭を抱えて溜め息を吐く。
「さあ、逃げるぞ。少年A」
「…………えっ?」
途端に向こう側が白くひび割れる。
そして…………異形、その一言に尽きる化け物が現れた。
ソレは間違いなくこちらへ向かって来ている。
「な……なんなんだよーーーー!!」
少年の叫び声は虚しく響くだけだった。
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