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「お疲れ、ヘズ。助かったよ」
そう言って、ロキは地面にゆっくりと少年を下ろし自身も地面に降り立つ。
白いジャケットを裏返して再び黒色のジャケットを着ると、ヘズに近付く。
すると、急にヘズの左拳が風を切り。
「べふっ!!」
「っ!!」
ロキの右頬を捕らえた。
殴り飛ばされたロキは数秒間だけ宙を舞う。
突然の事に少年は驚き呆気にとられる。
ヘズはと言うと相変わらず無表情でロキのいる方向とは全く別の所を向いていた。
「しまった……迂闊だった」
殴られた右頬をさすりながら、ロキは起き上がる。
殴られたと言うのにロキはあたかも自分に非があるように言う。
「ヘズ、近付くよ」
「…………うん、わかった」
ロキがそう一言言うと今まで喋らなかったヘズが返事をする。
すると、先程まで近付けば直ぐに手を出しそうな雰囲気が消えてなくなる。
ヘズの態度に急な変わり様に更に少年は驚いた。
「ヘズは盲目でね、その分気配を感じるのが得意で生き物が近付き次第無差別に殴りかかるんだ。ほら、ヘズ今回の厄介な死人だよ」
少年の驚く様子を見てロキはヘズの紹介をする。
ヘズも気配でロキの言う少年を判断して、そちらを向く。
「………………よろしく」
「あっ……どうも、よろしくお願いします」
ヘズの一言だけの挨拶に少年も少しオドオドしながら頭を下げた。
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