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「じゃあ、ヘズ。自分の持ち場に戻っていいよ」
「…………わかった」
少年の方を向いたままヘズは頷くと、何処かへ走り始めた。
「なんだったの?あの化け物」
走りさっていくヘズを横目で見ながら、少年はロキに問う。
「ああ、アレは君達でいう地獄に住む悪魔の一種。キミを狙ってるんだよ」
ロキの台詞に少年は驚愕する。
「ぼ……僕を狙ってる!?」
「正確に言えばキミのような死者の魂をね。ヤツらに捕まってもう一回殺されると[堕落(ダウンフォール)]になる。まあ、早い話判決無しの地獄送りってコト」
その言葉に少年は身を震わせた。
もちろん地獄になんか行くのもイヤだしもう一度死ぬなんてたまったものではない。
「ほら、行くよ」
そんな事を考えていると不意に聞こえたロキ声に顔を上げる。
「何処に?」
「どこにって、現世だよ。ロキ君の七つ道具[どこでもヘルゲート]」
パチンと指を鳴らして現れたのは青銅の色をした少し気味の悪い装飾の扉。
扉の上にはテレビのような画面が付いている。
扉の名前に少年はつい某青色猫型ロボットの十八番を思い浮かべた。
すると、画面に光が灯り、フードで顔の半分を隠されているかわいらしい女性が映された。
見た目の年齢はロキより五、六歳高そうに見える。
「やあ、ヘル。いつもどおり現世への扉を開けてくれる」
「はい、わかりましたお父様。現世への扉、通過人数は二名でいいですね?」
この会話を聞いて、少年は固まる。
そして、ロキを指差すと…………
「お父様ーーーーっ!?」
そう大声で叫んだ。
その様子にロキは失敬だなといった顔した。
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