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ローランサンの反応があまりに予想外だった。
「だから始めっから苦手だっつってんだろ!このドSが!俺を苛めて楽しいのか!」
「まぁ、それなりには」
「...そうデスか」
何故かローランサンはがっくりと項垂れると深いため息を吐いた。
いつもなら突っ掛かってくるくせに今日はなんだか張り合いがない。
「どうしたんだそんな疲れきった顔をして」
「お前のせーだろ...ああ、ホント俺もう女の顔が見れない。ていうか夜一人で外で歩けねえ...」
「っ、」
その言葉に思わず吹き出す。
いつもはあんなにカッコつけてる奴が、こうもホラー系が苦手だとどうしても面白いものだ。
しかしそんな俺の態度が気に喰わなかったのかサンは顔を顰めて、手元にあった枕を投げつけてきた。俺はそれを軽々両手で受け止める。
「・・・イヴェール、もうお前なんか大嫌いだ。この女顔が。どうせお前も口が裂けるんだろ」
「裂けてたまるか。死ね」
「お前に死ねと言われて死ぬわけねーだろ。...ああもういい!酒でも飲んで忘れてやる!」
ローランサンはがばっとベッドから立ち上がったと思うと、俺がハンガーにかけてやった上着を着こんでずかずかと扉の方に向かって歩いていく。
俺はその背中に優しく声をかけてやった。
「出かけるのか?」
「そうだよ!酒場行って朝まで飲み続けてやる!」
「...別にそれは構わないが、サン」
「なんだよ!」
勢いよく振り返ったローランサンに、にっこりと微笑んでやる。
「今は丁度お化けが出やすい深夜の0時なんだが」
「...」
明日からはこのネタで毎日からかってやろう。
俺は真っ青になってベッドに戻ってくる相方を見ながらそう心に決めたのだった。
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