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厳密に言えば俺は事実確認に数十秒時間を要した。目の前に少女がいたのだ。妹でもなければ知り合いでもない、だけどどこか親近感の湧く気だるそうな少女が。
「…!?」
俺は理解した。その親近感の正体を、それは鏡だった、つまり目の前に存在する少女は…
「俺!?」
理解した、しつこいようだが理解はした。
だが理解したからと言って受け入れるかと言われれば話は別だ。朝起きたら性転換してましたぁ♪、なんて明るくなれるはずもない。実は人には言えない事情で出来てしまった血の半分繋がった妹や姉が出現する方がいくらかマシだ。
「キョンちゃん?早くしないと遅刻するよ?」
いつからいたかは知らんが妹が話かけてきた。俺は蕨をも掴む気分で妹に精一杯の助けを求めた。
「お、俺はどうしちまったんだ!?」
妹はビックリしつつ何故か少し怒ったような顔で当然のように言ってきた。
「キョンちゃんってば、また『俺』なんて使って、お母さんに怒られるよー?」
やっぱりか…妹は俺が女になったことなんて微塵も気にしていない、否、知らないんだ。あたかも最初から俺が女だったかのように…
こんなことをするのはアイツしかいない。今まで色んなことが起きたが元を辿ればすぐに何時もの源流にたどり着く、そう、涼宮ハルヒその人だ。
俺は一目散に用意を済ませ、この事態を究明するため学校に向かった。
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