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よりにもよって谷口とは…どうしたもんか。もちろんこの世界で俺が女ということは、谷口の脳内にも俺=女という確固たる事実があるわけで…ということは女の俺と谷口に以前のような友達的接点は有るのかと言うと…ダメだ、さっっぱり分からん!
考えることをやめた俺の脳内は、それとなく、シレッと、自然に?スルーすることにした。だが遅刻間際の全力疾走という点は変わりようがないわけで…。
「お、うぉお~いキョン!」
気付かれた、意図も簡単に。俺はどうすりゃいいんだ?いつもどうりか?それとも慣れてない女口調?…うーむ。
そんなとき俺の脳内であるセリフがプレイバックされた。
『キョンちゃんってば、また『俺』なんて使って、お母さんに怒られるよー?』
こっちの世界でも俺は俺らしい。説明的には意味不明だが男時代のうるわしの俺のキャラはこっちの俺にも多少なりとも適用されているようだ。ややこしくてすまん。
「オッス、谷口」
「オッスって…てめぇ今俺のこと無視しようとしただろ?」
谷口にしては鋭いな、まぁ実際その通りなんだが。
「あぁ、それがどうかしたか?」
「やっぱりお前可愛くねぇな」
「あぁ、良かったよ」
「は?」
そりゃそうだ、いくら肉体的に女とはいえ谷口なんぞのお目がねにかなっちまったらそれこそ寒気で失神出来るね。
「お前に可愛いなんて思われなくて良かったって意味だよ」
「カァーッ!、マジで可愛くねぇ!」
「ほらほら、遅刻すんぞ」
谷口のおかげで少し落ち着いたか、たまには感謝かな?まぁ谷口と話していて気付いたが、俺の声は妙に高く、女と現実をまた突きつけられたから、プラマイゼロか。
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