第二話 〈野球と君と僕〉

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「確かに迷惑かもしれないけど…でも…でも…!!」 「緒方君、もしかして自分が一番…って思ってないよね」 水樹の言葉にはじめは自信を持って答えることが出来なかった。 「いや…でも頑張れば甲子園に…」 はじめは今自分が言える範囲の言葉を精一杯出そうとした。 しかし、虚しくも水樹は簡単に交わしてしまう。 きっと水樹の聞きたくないワードがはじめの口から出てしまったからだろう。 「緒方君……… たとえ緒方君がどんなにすごくても手の届かないものはあるんだよ。 それに野球なんて、もう見たくないの…」 「そ、そんな……」 「ごめん…悪いけど、あたしもう行くね…本当に……ごめんなさい……」 ドアを閉じる音がガシャンと乱暴に響いた。 水樹はそのままはじめを置いて自分のクラスへと帰った。 突然の出来事にはじめはただボーッと立っていることしか出来なかった。 自分が今まで尽くしてきたものを否定されたのだから。
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