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塔は金魚が居ないまま完成しました。完成セレモニーで王妃を丁寧に運びこみベッドに寝かせると、最後の力を振り絞り
『ありがとう…』
と、つぶやきます。目が一面の金魚を追いかけ涙をポロポロ流し、力尽きるように静かに閉じていきました。
幸せそうな笑顔が目に焼き付いて離れません。
完成セレモニーはそのままお別れ会に変わりました。国中が哀しみの涙を流しています。
ですが心の何処かで王妃様の最後の願いを叶える事が出来た!そう感じていました。
壁中の金魚は確かにイビツでしたが、とても美しく見えます。
王妃様の願いはきっと赤い金魚ではなく、お互いの気持ちや考えに触れるよう、愛する者達に[絆]教えたかったのでしょう。
王妃様の涙が宝石のように輝きました。
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