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小さな小さな国、人口よりも猫が多いこの国には、ぽっちゃりとした優しい王様と色白の美しい王妃様が住んでおりました。
この国は土地の約5分の1を泉が占めており、水が豊富にあって争い事もありません。
王様も愛する王妃と静かに幸せに過ごせる事に満足していて、それはそれは絵に描いたように平和な国でした。
特に数多く生息する野良猫は平和の守り神として民に可愛がわれており、みんな丸々と太っています。
こんな平和な国にも民達が不安に思う事がありました。…王様と王妃様には跡継ぎがいなかったのです。
王様は王妃様の身体を考えて、子供を作る事にためらっているようでした。
王妃様は生まれつき心臓が弱く、王様はそれを承知で妃に迎えていたのです。
王様は身体の弱い王妃様に深い愛情を捧げていました。民達も理由を知っているので誰も強くは言えません。
ですが悲しい事に人間は誰しも確実に歳を重ねてしまいます。
焦りは年々増えていき、心優しい王妃様は心を痛め、ある覚悟を決めてしまったのです。
『私、この国が大好きよ。そして平和を大切にする貴方の事も大好きなの。私は大事な物を未来永劫守りたいわ。貴方は?』
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