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『僕も守りたい。でも僕は君無しでは生きてはいけない。…そんな目で見つめないでおくれ。分かってはいるんだ。分かっては…』
『愛してるわ。貴方も民も…そしてこれから産まれてくるだろう赤ちゃんも…』
王様は落ち着きなく歩き回ります。王妃様は椅子に座り、只、じっと王様から目を離そうとしません。
王様は罰が悪そうに王妃様の向かい側に座りました。どうしても中々口を開けないでいるようです。
どうにか冗談にしてしまいたい…そんな事を考えているのかもしれません。でも言葉は自分で考えているよりも誠実に出てしまうものです。
『もう覚悟は決まっているんだね…』
『えぇ。…私ね、居なくなるのは怖くないの。何も残せないほうが怖いの…』
『何も残せない…そうか…そうかもしれないな…そうだよな…私達が居なくなったらこの国は…王を名乗るからには未来も見据えないといけない…そうなのか?』
王妃様は眩しい位の笑顔を浮かべ、王様を見つめます。
『そうよ。知っていたくせに…』
『僕は弱い。』
『私も弱いわ。』
二人は見つめ会い、手を握りながら思い描く未来を朝まで語りました。
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