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翌年、二人の間に玉のような男の子が産まれました。
心配されていた王妃様も、ベッドの上から動けなくはなりましたが、母として接し、子供を我が手に抱く事も出来ました。
ですが、常に一緒に居ることは出来ないので、王子には動けない母の代わりに寂しくないようにと、真っ白で毛並の良い産まれ立ての仔猫が与えられました。
王妃は仔猫の名前をアロマとし、王子と同じように可愛がります。その様子はまるで孤独な王子に兄弟がいるみたいに見えました。
ご飯も寝るのもいつも一緒。王子は孤独を感じる事なくスクスクと育ちました。
王様もまた、自分の小さい頃を見ているかのようで、王子の事が可愛くて仕方がありません。
しかし、仕事やベッドの上で苦しそうにしている王妃様の事が心配で、中々王子と接する事はありませんでした。
いつの間にか親子の間に小さな溝が出来初め、王子が大きくなるに連れ会話は噛み合わなくなってきたのです。
王妃様は心配でした。自分はもう長くはないと悟ってしまったのです。
このままでは自分が居なくなった後、争いが始まってしまうかもしれない。何か自分の代わりになる者を探さなければと昼夜悩み続けました。
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