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『お願い。赤い金魚が欲しいの。もちろんアロマも協力して頂戴ね。』
王妃様は王子とアロマの顔を交互に見て話を続けます。
『二人ともお父様と協力して頂戴。時間が無いの。ね?母の願い叶えて。』
『ですが母上!金魚なんて必要とは思えません!それよりも医者を探すべきです!母上は治そうと言う気迫が足りないのです!』
『…母は治りません…』
『やってみなけれ…』
王妃様の真剣な眼差しに王子は黙ってしまいました。言葉の代わりに涙が溢れて止まりません。
『…母は十分に長生きしました。貴方の成長が見れたのです。大往生でしょう…最後に赤い金魚…お願い出来ませんか?』
王子は鼻をすすりながら、頑張って声を絞りだします。
『…何故赤い金魚なのかお教え下さい。』
『飼えば分かりますよ。』
王妃様は優しく力強く微笑みました。
『ニャア』
『まぁアロマは協力してくれるそうよ。』
王子は不服ながらも覚悟を決めました。その顔があまりにも王様と同じだったので王妃様はびっくりして少し吹き出してしまいました。
『…分かりました…その変わり、赤い金魚が届くまでは…って何で笑っているのですか?真剣に聞いて下さい!』
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