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『クスクスクス。ごめんなさい。親子なのね。』
『お母様が産んだんです!当たり前えではありませんか!』
王子は少しズレてしまいました。王妃様の笑い声に不思議そうに沈黙した後、気が付いたのか真っ赤になります。
気恥ずかしい空気に触れ、王妃様も王子も少しだけ心が落ち着いてきたようです。
二人はお互いを思いやり、納得するまで話し合いました。それからは王子も少しだけ、王様の手伝いを始めます。
父の為ではなく母の為、お母様に赤い金魚を見せるんだ!その一心で親子の力を合わせました。
心の何処かに、もしかしたら元気を取り戻してくれるのかもしれない、妙薬になるのかもしれない、そんな淡い期待があったのかもしれません。
明るい未来を考えながら頑張ると少しだけ楽しいのです。
王子は父や民の気持ちに少し触れた気がしました。
親子は金魚を探し出す為に、使者を五人ほど様々な方角に送り出しました。ですが何週間たっても誰一人帰って来ません。
このままでは金魚の塔が先に出来上がってしまいそうです。
何しろ生態が分からない生き物なので、飼い方に合わせて塔の設計を細かく変えなければいけません。
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