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王様は焦りました。
王子はそんな王様に対し、猫が入り込めない、光が入る、人が住むのに十分なスペース、この三つが揃えば大丈夫だと力強く励まします。
王様は王子のたくましい成長に触れ、何故もっと側にいてあげなかったのか激しく後悔しました。
愛する妻は自らの命をかけ、国の未来を生み出しのです。妻の体の心配するばかりで、彼女の功績を見逃すところでした。
塔が完成する間近、王妃様はとうとう声を出せないほどに弱ってきてしまいました。
時々目を開けてはまだ生きていますよと微笑むだけなのです。
王様は覚悟を決めました。手に入らなければ作りだせば良い。そう決意し、自分の思い描く金魚を、塔の壁いっぱいに書き出していきます。
知りうる限りの魚を真っ赤なクレヨンで描いていけば、どれか一つは金魚に見えるかもしれません。
王子はそんな王様の様子に最初は戸惑いましたが、真剣な眼差しに心を打たれ自らも描き始めます。
徹夜で描いた様々な魚の絵は、完成してみると一面に赤と白しか無く、少し不気味に出来上がってしまいました。
見かねた庭師が王様達を押し退け、色を加え、なんとかしてメルヘンに作り変えてしまう程にです。
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