hunters ある錬金術師の為の協奏曲

偏狭より†巣立ち†

四人は夜の砂漠を走る。夜の砂漠は危険。
しかし、だからこそ追っ手をまくのには都合が良い。

「みんなまだ走れるか？」

「この程度でへばるか、誰に聞いているんだ」

「…………」

ヘルメスが聞き、ルッチが答え、オリビア肯定の意味なのか軽く笑顔を作ったが先ほどの女の子（名をアンジェラという）は息を切らして走っているというより転んでいないだけになっている。

「そろそろ限界のようだな、仕方がない、このエリアを抜ける前にガレオス達を起こすぞ」

ヘルメスの策はこうだ、子供をつれたこちらの足が遅くなったなら誰かに足留めをしてもらえばいい。そしてその役を砂漠を泳ぐガレオスという魚竜を起こして任せようというのだ。

「了解だ……おい、後３０分もあれば砂漠を抜けるからあと少し頑張れよ」

ルッチがアンジェラを気遣い始めた。恐らく彼が村を出るときこれ以上子供が泣く所を見たくないと言っていたのは照れ隠しなどではなく本心なのだろう。