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視界が戻った轟竜ティガレックスその剛腕を利用し、常識外れの速度で砂を巻き上げてこの世の物とは思えない形相で口を開けて三人に向かってきた。
「打ち合わせ通りに頼む、ルッチ、オリビア!」
ヘルメスの号令で二人はティガレックスの突進の軌道から外れてただ一人ヘルメスがボウガンに付いたシールドで攻撃を受け止めた。当然お世辞にも防御に長けているとは言えないボウガンではどう踏ん張ってみてもかなり大きく後退する。
「コイツはちょいとヤバいかな……」
だが、次の瞬間に辺りが煙に包まれた。モンスターの視界を奪い身を隠すためのアイテムである煙玉を地面に叩きつけたのだ。
「段取り通りだ、さあ始めるぞ!」
煙を纏いながら二人の剣士が振り下ろされた拳の隙間を抜けて轟竜の体を切り裂く……が決して、深追いはせずすぐに煙の中に身を隠す。これがヘルメスの考えた作戦であった、本来守られるべきガンナーである自分を囮にして二人に攻めを任せる。一見無茶だが防御力が低い片手剣とガードのできない太刀を援護するにはベストだと彼は考える。
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