第一条 顔が似てること

2/3

185人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
◇◇◇僕 「で、何の冗談だ」 僕はいらいらオーラを放出しながら相手を睨みつけた。 怒りの矛先は小学生からの友人である翼という男子だ。 ひょろっとした僕とは違い、なかなか逞しい肉体を持ち合わせ、身長も185センチと反則的な奴だ。 髪は茶髪に染め上げ、短くカット。 全て逆立っている。 つまり外見において、不良度90パーセントぐらいの奴である。 「何度も言わせるなよ。お前が女装をして歩いているのを見たと言っているんだ」 思考が横路にずれていたが、再び怒りが舞い戻ってきた。 「ふざけるなよ。僕がそんな変態じみたことするはずないだろ」 とうとう声にまで、オーラが纏いだした。 あまりの雰囲気に教室中がざわめき出す。 今日にいたるまで、喧嘩らしい喧嘩は、僕と翼の間には無かった。 その事実が普通以上に周りの緊張感を高めているのだ。 「あくまでも知らないと?」 「ああ、知らない」 本当に覚えが無かった。 絶対、確実、完璧に翼が間違っている。 「じゃあ、コレを見やがれ愚か者!」 翼は水戸黄門のアレのように、携帯電話を僕の前に突き出した。 携帯の液晶画面に映った画像に、しばし絶句する。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

185人が本棚に入れています
本棚に追加