第一条 顔が似てること

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「何だ、コレ?」 理解できない。 脳がいつものように、働いてくれない。 認識できたのが、携帯に映っているのはセーラー服を着てること。 それだけだ。 と言うよりそれ以上認めたくない。 「どうした? え? これでもしらを切るきか?」 翼が攻め立てる。 現実が徐々に脳にとけ込んでくる。 セーラー服は多分他の学校のものだろう。 僕の学校は蒼のブレザーだもの。 で、赤いスカーフが巻かれていて、黒のスカート。 そして、顔が僕……、いやだ。 断じて認めん。 「いい加減見苦しいぞ! どっからどう見てもお前だろ。輪!」 そうそう、僕の名前は『寺前 輪(てらまえ りん)』で……、いや、そういう問題じゃなくて。 首の辺りまで伸ばされた黒髪。 一本一本が癖のないストレート。 どこか丸みを帯びた顔立ちで。 ああ、本当に僕だ。どういう事だ。 鼻先や口元、おまけに目元まで……あれ? 「あの~、翼。これどこで撮った?」 「あん? 近くの商店街だけど、それがどうした?」 商店街か、学校から徒歩10分ってところだ。 心当たりはある。 この僕に女装変態の濡れ衣を着せた犯人の。 「翼、信じてくれないかも知れないけど、多分これ僕の兄妹かも」 再び携帯に視線を落とした。 不機嫌そうな瞳を確かに見た。
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