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「何だ、コレ?」
理解できない。
脳がいつものように、働いてくれない。
認識できたのが、携帯に映っているのはセーラー服を着てること。
それだけだ。
と言うよりそれ以上認めたくない。
「どうした? え? これでもしらを切るきか?」
翼が攻め立てる。
現実が徐々に脳にとけ込んでくる。
セーラー服は多分他の学校のものだろう。
僕の学校は蒼のブレザーだもの。
で、赤いスカーフが巻かれていて、黒のスカート。
そして、顔が僕……、いやだ。
断じて認めん。
「いい加減見苦しいぞ! どっからどう見てもお前だろ。輪!」
そうそう、僕の名前は『寺前 輪(てらまえ りん)』で……、いや、そういう問題じゃなくて。
首の辺りまで伸ばされた黒髪。
一本一本が癖のないストレート。
どこか丸みを帯びた顔立ちで。
ああ、本当に僕だ。どういう事だ。
鼻先や口元、おまけに目元まで……あれ?
「あの~、翼。これどこで撮った?」
「あん? 近くの商店街だけど、それがどうした?」
商店街か、学校から徒歩10分ってところだ。
心当たりはある。
この僕に女装変態の濡れ衣を着せた犯人の。
「翼、信じてくれないかも知れないけど、多分これ僕の兄妹かも」
再び携帯に視線を落とした。
不機嫌そうな瞳を確かに見た。
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