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「ふざけるなよ。こっちとら友人が道を踏み外さないように努力しているっていうのに、知らねぇだと?」
不良だ。多分番長クラスの不良だ。
「あ、あの、すみません。なんか気に障ったなら謝ります」
必死の弁解も、彼の精神を逆なでしただけのようだ。
「気に障っただぁ? ただ、そんな格好するのが気に入らない。それだけだ」
格好? この格好がどうかしたのだろうか。
段々混乱してきた。
「それに何だこの控えめ過ぎる詰め物は。すぐに取れよ」
彼はそう言うと、私の胸に手を伸ばしてきた。
ひっ、と息を飲み、
「キャアアアア! 変態!」
手が触れる直前に、私の右フックが彼の頬にめり込んでいた。
みしりと骨の軋む音がする。もちろん相手の骨だ。
意識の定まらない中、幼稚園から習い続けている空手の全てを出し切った。
殴る、蹴る、金的!
全てが稽古(一部オリジナル)通りに捻れ込む。
相手は「ぐはぁ」と悶絶しながら床に倒れ伏す。
「ま、待て。なんでそんなに強いんだ。お前はクラスで貧弱ナンバーワンの座を……」
ピクリと立ち上がる気配が格闘家の神経を刺激する。
「キャアアアア!」
悲鳴を上げながら蹴り飛ばす。
机に激突し、小物と皿を撒き散らす様を認めると、私は息を吸い込み、
「誰か警察呼んで! こいつ痴漢、変態です!」
「え、警察って、おい。冗談だろ輪」
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