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「別れましょう」
てらてらと星が瞬く午前二時
彼女の伏せた睫が月の光を浴びて輝いている。
微かに震える唇はこの寒さの所為だろうか。
そういえば深夜には氷点下を下回ると天気予報で言っていた気がする。
「別れたいの」
もう一度唇が震えた。
今度の声はさっきより現実味を帯びて耳に届いた。
不思議と心は穏やかだ。
「もう、駄目なのかな」
白い息は言葉と一緒に空中に散った。
霧散していくそれに目を這わせ、視線を彼女へゆっくり戻す。
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