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「駄目だわ」
彼女が頭を振る。
栗色の髪の毛が肩からすべった。
白い肌と合わさると、まるで人形のように見える。
「あなたとこれ以上一緒にいられない」
元はといえば僕がいけなかったんだろう。
思いを伝えなければ、良かったんだ。
彼女はきっと悩んだに違いない。
悩んで悩んで悩んで悩んで悩んで、やっと僕に言ったんだ。
俯く彼女を見、唇を強く噛みしめる。
足を一歩踏み出す。ざりと地面が擦れる音がする。
彼女の体がびくりと震えたのが分かった。
二人の間を三歩でつめ、僕はそのまま彼女の横を通り過ぎる。
「さようなら、姉さん」
彼女の嗚咽に混じって、僕の呟きは小さく消えた。
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