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「もっと、もっともっと見たいわ」
「いいともいいとも。
実は僕は王子様なんだ」
更に彼の鼻が伸びるのを見て、金髪の人形はもっともっとと彼をせっつく。
木の人形は更に嘘を重ね鼻を伸ばす。
気がつけば木の人形の鼻はとても長くなっていた。
最後に木の人形は鼻の重みを耐えつつ呟いた。
「僕は君がとても嫌いなんだ」
更に伸びた鼻を見て、金髪の人形は「今何と言ったの?」と木の人形に問うた。
「君がとても嫌いなんだ」
だらりと鼻が更に伸びた。
木の人形の小さな黒いボタンの目が、静かに金髪の人形を見つめている。
その真意を噛みしめるように、金髪の人形の動きはピタリと止まった。
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