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かちこちと時計の秒針がリズムを刻む中で、金髪の人形が小さく呟いた。
「私もあなたが好きだわ」
ととと、と金髪の人形が鼻の長い彼に近づいていく。
二人を照らすスポットライトが静かに重なっていく。
青い石の瞳とボタンの瞳が、きらきらと星のように瞬いている。
二人は静かに一つのスポットライトの下で見つめ合った。
薄汚い木製の人形と、美しい金髪の人形の組み合わせは滑稽で、それでいて何処か神秘的だった。
ふ、と木の人形の瞳に影が射した。
金髪の人形がどうしたのと彼を覗き込む。
「…これじゃあキスができないね」
「そうね、残念だわ」
でも大丈夫よ、と金髪の人形は木の人形に笑いかけ、優しく彼の長い長い鼻に口付けた。
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