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その本を元の場所に戻した後、頬をふくらませながらティーナはエルのことを探しにずしずしとした足取りで歩きだした。
「…いない」
ティーナは小さく呟きうなだれた。
あれからエルを何十分と探したがどこにもみあたらなかったので仕方なく出口にむかった。
図書館の扉はなかなかの重さだ。
そのためティーナは毎回のように全体重をかけておさなくてはならない。
でも最近はエルが開けてくれるのでティーナがあけることはほとんどなかった。
「よーし…いっくぞ!!」ティーナは軽く腕捲りし、ドアにむかって突進した。
「んーっっっ!」
しかしティーナがおもいっきり押しても扉は数センチしか開かない。
「よく…エル…こんなの…軽々開けられるんだろっっっっ…どわっ!」
ふいにうなっていたティーナが大きく叫んだ。
広い出口にティーナの叫び声がこだました。
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