10/11
前へ
/158ページ
次へ
そういえばこの少年も貧弱そうに見えて片手で扉を支えている。 ―不思議ね。顔色は青白いし、強そうにはみえないもの。それにしても年齢に似合わない格好。わたしが彼女だったらもっとかっこよくしてあげるのに。もったいない! とティーナは思った。 「そういえば…」 少年の容姿をじっと観察していたティーナの肩がビクッと跳ねた。 「なんですか?」 。 「敬語なんてつかわなくていいよ。この間は怒られなかった?」 「?」 「その…チビでまぬけな元国家錬金術師さんにさ。」 「あぁ!さんざんでしたよ!ついたときなんか驚かされたもん!」 ティーナがそう言うと少年は軽く声をあげて笑った。 ドキンっとティーナは自分の胸が高鳴ったのをきいた。 その後も少年とはなしているあいだもティーナの心臓はこの前よりもはるかに高鳴っていった。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加